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コンピュータ将棋(2)

情報処理学会誌今月号(2008年8月)のミニ特集は、「コンピュータ将棋は止まらない」。この5月に行われた「第18回世界コンピュータ将棋選手権」で1位、2位となった「激指」「棚瀬将棋」が、アマ名人のおふたりに勝利した、ということでこの特集となったようです。ちなみにこのおふたりは、プロに非常に近い技量の持ち主だそうです。つまり、コンピュータもそろそろトッププロを破るのではないか、ということですね。

その真偽はともかく、「激指」「棚瀬将棋」の開発者(鶴岡氏/棚瀬氏)による技術解説は興味深いものでした。現状のコンピュータ将棋では、形勢判断のための評価関数を、自動学習するものとそうでないものの2通りがあるらしいのですが、「激指」は後者、「棚瀬将棋」は前者です。この両者の対戦では、「激指」が勝ったのですが、これはかなりいわくつきのもので、本特集を読んだ限りでは、実際には「棚瀬将棋」が勝っていた、という論調ですね。

この評価関数というのが、様々な特徴量を評価して、最終的にはあるひとつの値(=先手後手の有利度)を算出するのです。まるでパターン認識であるかの如く。評価関数を自動学習させる場合、プロの指した手順を正解と見なし、それにより評価関数のパラメタを更新していくわけですが(つまり教師あり学習)、こうなってくると、強いんだけれどコンピュータ自身は何をやっているのか分からない、ということですね。この現状を「激指」の開発者は、「職人芸の活きる場所が、1つ1つ減っていく」と嘆いておられるのですが、時代は正にそのような方向へ...

先日のNHK「プロフェッショナル」で、羽生氏と森内氏の死闘ドキュメンタリーを観た私にとっては、トッププロとコンピュータ将棋は確かに技量が亀甲して来るのでしょうが、基盤にある思考様式はどんどんと違ったものになってきそうですね。片や人間の限界まで理解を深めた生身の棋士、片や強いけれど何も分かっていないコンピュータ。これは正にペンローズの理論通り...

でも待てよ、トッププロは局面をパターン認識するかの如く、右脳で考えるという実証実験がありました。ということは、もしかしたら今のコンピュータ将棋における最新技術(=評価関数の自動学習)は、トッププロの思考回路を模倣している可能性も無きにしも非ず、ですね。自分でも何を言っているのか分からなくなってきましたので、この辺でおしまいにしますが、上記技術解説は面白いですよ。


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プロフィール

Author:加納裕
(株)スリーディー代表取締役兼CTO
1983年東京工業大学工学部機械物理工学科卒業
同年(株)図研入社
1987年(株)ソリッドレイ研究所を6名で設立、取締役
1994年(株)スリーディー入社
1996年同社取締役
2002年同社代表取締役
2009年同社退社
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
私は現在(株)スリーディーの代表取締役兼CTOという地位にあります。零細企業ですが技術には自信を持っており、今後如何に当社を発展させていくかが問題でこれについて重責を担っています。当社が属する業界の技術は日進月歩で競争も世界中で行われていますので、日々の舵取りと共に中長期的ビジョンも必要という、私の能力を遥かに超えた振る舞いが要求されます。そこで日々の思いを整理するために、フォーマルではないけれども公開したいと私が思うことを書き、それに対するフィードバックを貰うことで経営の糧にしたいと思いました。これが本BLOGを始めた動機です(2006年1月)。
kanouy[at]kuramae.ne.jp

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